信濃川あひるの "Don't be cruel" 〜冷たくしないで

信濃川あひるが「およそ1000文字」で思いを綴ります。

山口県山口市『長沢ガーデン』その2

20才を過ぎてからは「青春を取り戻したい」とは思わない。強がって思わないようにしてる、というのが正確かもしれません。だって青春は言葉の意味からも、どうやったって10代までのものだし、その頃に不遇を感じていたとしても、それなりに工夫して小さな楽しみを見つけてやってきたわけだから、取り戻すなんて言い方は過去の自分に失礼だと思います。

もし青春を過ぎた現在、当時に得られなかった満足を得ているとしたら、それは青春を取り戻したのではなく「今を楽しく生きている」だけなのです。くれぐれも「あの頃の自分に見せてビックリさせる」ために今の自分が生きているなんて気を取られずに、過去の不遇に足を取られずに前を向いて進みましょう(自戒も込めて)

時間はいつも前にだけ進む。現状にも未来にも不安を覚えているならば、未来の不安に期待したい。そんなことを考えながら高速道路を走り、到着した山口県山口市『長沢ガーデン』でした。僕が見たかった未来とは…

 


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素泊まり3500円の部屋は、この写真で見る限りだとわかりませんが、リアリズム(生活感)がすごかった。僕は少し後悔をしたが時すでに遅し(お寿司)だった。木造で築50年の割には綺麗に見えるけど、ここは街道沿いのドライブイン。とにかく過去に宿泊したであろう労働者の念がすごいんです。僕は霊的なものは何も信じないのですが、なんかここはやでした。

旅の読み物に、と用意した武田百合子の文庫本をペラペラめくりながら「淡々とした情景」モードに落とし込もうとしても、どうやったって部屋からブルースを感じてしまいました。旅に出ることで(結局"旅"という単語も使います)今まで気づかなかった微妙に潔癖症な自分に気がつきました。あと、特に水回りが古いのはキツいかな〜排水の悪さとかも気になった。いちおう温泉も湧いてるんだけどなんか排水がイマイチだったんだよね。ついでに、部屋にあるトイレでかなり久々に『サワデー』の強烈なにおいにも打ちのめされました。

 


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ただレストランはよかったです!アンティーク的なんだけど色使いがとっても未来的!おばあさんが作った500円のとんこつラーメン(ブランキージェットシティの歌詞みたいじゃない?)も、さすが北九州。食べたことないくらい濃厚でした。

 


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そして、本来の目的である「うどん自販機」へ。湯切りをする都合で具は麺の下に隠れています。かわいいね。この文化についてはこちらのサイトに詳しいので見てみてください。

http://jihanki.michikusa.jp/

ぼくはこれをレトロではなく「アンティーク」として楽しんでいます。女性が古着を楽しむ感覚とまったく同じです。本当なんです!うどんはおいしいわけではありません(念のため)

なんか、昔は隆盛を極めたものが、変わってゆく/終わってゆく瞬間には立ち会いたいんです。あとこの旅で気づいたのは、自分の器の小ささと無力感ですね。ここで一晩過ごしたおかげで、大げさだけど「これからは人に頼って生きていこう。人に頼るのが調和である」と思いました。

ゴールしたから今回で旅日記は一旦おわりです。でもこれまだ「往路」なんですが、復路については時系列ではなく、紹介したい部分だけを書いていこうと思います。引き続きこのブログをよろしくお願いします!

 

追伸:この日の夜はあまり眠れず、朝の7時に逃げるようにチェックアウトしました。外からは街道の車の音がビュンビュンと、労働者の声がガヤガヤと聞こえ続けていたので。そういえばここにiPhoneの充電器と武田百合子の本を忘れてきたので、また行かなければいけないのかもしれません。